公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
キジツ (枳実)
第十八改正日本薬局方 収載
英名 Immature Orange 生薬ラテン名 AURANTII FRUCTUS IMMATURUS
キジツ
生薬名:キジツ
ダイダイ,Citrus aurantium,ナツミカン
植物名:ダイダイ,Citrus aurantium,ナツミカン
基原 ダイダイCitrus aurantium Linné var. daidai Makino,Citrus aurantium Linné 又はナツミカンCitrus natsudaidai Hayata(Rutaceae ミカン科)の未熟果実をそのまま又は半分に横切したもの
調製 5 ~ 6月に未熟果実(摘果品)を採集し,そのまま乾燥する.又は半分に輪切りにして天日或いは温風で乾燥する.
産地 日本(和歌山,広島,愛媛県),中国(四川,江西省)で栽培
性状 ほぼ球形で径1 ~ 2 cm,又は半球形で径1.5 ~ 4.5 cmである.外面は濃緑褐色~褐色で艶がなく,油室による多数のくぼんだ小点がある.横切面は周辺が厚さ約 0.4 cm の外果皮及び中果皮からなり,表皮に接する部分は黄褐色,その他は淡灰褐色を呈する.中心部は放射状に8 ~ 16個の小室に分かれ,各室は褐色を呈してくぼみ,しばしば未熟の種子を含む.
特異なにおいがあり,味は苦い.
成分 精油:d-limoneneなど
フラボノイド:hesperidin, naringin, neohesperidin, sinensetin, nobiletin, 3, 3’,4’, 5, 6, 7, 8-heptamethoxyflavoneなど
その他:phlorin
選品 芳香性で果皮が厚く,苦味の強いものが良い.
適応 利気・健胃・化痰(けたん)・便通作用があり,胸腹部の膨満感や痛み,便秘などを改善する薬方に配合される.
芳香性健胃薬として生薬製剤に配合される.
漢方
処方例

大柴胡湯(だいさいことう),四逆散(しぎゃくさん)
構成生薬のうち,枳実,芍薬,桔梗の組み合わせにより,筋肉の緊張を緩め,膨満感を治す.

貯法 密閉容器
備考 枳殻とも呼ばれる.
形状によって,小割,久丸(きゅうまる),青切,赤切などの名があった.
基原植物のCitrus aurantium は中国では酸橙(さんとう)と呼ばれ,四川・江西省で栽培されている.
この種の亜種のハッサク C. aurantium subsp. hassaku (= C. hassaku) も基原植物に含まれる.

情報更新日 2022/05/14

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