公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
キョウニン (杏仁)
第十八改正日本薬局方 収載
英名 Apricot Kernel 生薬ラテン名 ARMENIACAE SEMEN
キョウニン
生薬名:キョウニン
ホンアンズ,アンズ,Prunus sibirica
植物名:ホンアンズ,アンズ,Prunus sibirica
基原 ホンアンズPrunus armeniaca Linné,アンズPrunus armeniaca Linné var. ansu Maximowicz又はPrunus sibirica Linn?(Rosaceae バラ科)の種子
定量するとき,換算した乾燥物に対し,アミグダリン2.0%以上を含む
調製 夏の果実が成熟した頃,果実の中の堅い核を砕いて種子を取り出し,乾燥する.
産地 中国(内蒙古自治区,山西,陝西,河北省など)
性状 扁圧した左右やや不均等な卵形を呈し,長さ1.1 ~ 1.8 cm,幅0.8 ~ 1.3 cm,厚さ0.4 ~ 0.7 cmである.一端は鋭くとがり,他の一端は丸みを帯びてここに合点がある.種皮は褐色で,外面にはこすれて落ちやすい石細胞となった表皮細胞があって,粉をふいたようである.また,合点から多数の維管束が種皮全体に分枝しながら縦走し,その部分はややくぼんで縦じわとなっている.温水に入れて軟化するとき,種皮及び白色半透明の薄い胚乳は子葉からたやすく剥がれ,子葉は白色である.
ほとんどにおいがなく,味は苦く,油様である.
成分 トリアシルグリセロール類(青酸配糖体): amygdalin(日局18確認,定量), neoamygdalin
クマリン:scopoletin
その他:脂肪油など
選品 粒がそろって大きく厚みがあり,噛むと苦く,独特な芳香が強いものが良い.
適応 鎮咳,去痰,便通の目的で漢方用薬に配合される.杏仁油・杏仁水の製造原料.
漢方
処方例

麻黄湯(まおうとう),麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)
構成生薬のうち,杏仁,麻黄の組み合わせにより感冒時の咳や痰,喘息を改善する.

麻子仁丸(ましにんがん),潤腸湯(じゅんちょうとう)
構成生薬のうち,杏仁,麻子仁,大黄の組み合わせにより老人などの習慣性便秘に使用する.

貯法 密閉容器
備考 類似植物にマンシュウアンズP. mandshuricaがある.
また,漢方では苦杏仁(苦味が強い)を用い,食品には甜杏仁(てんきょうにん)(苦味がほとんどない)が用いられている.
杏仁は桃仁に比べamygdalin含量が高い.杏仁にはscopoletinが認められるが,桃仁には認められない.

情報更新日 2022/05/16

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