公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
センキュウ (川芎)
第十八改正日本薬局方 収載
英名 Cnidium Rhizome 生薬ラテン名 CNIDII RHIZOMA
センキュウ
生薬名:センキュウ
センキュウ
植物名:センキュウ
基原 センキュウCnidium officinale Makino (Umbelliferae セリ科) の根茎を,通例,湯通ししたもの
調製 秋期に茎葉が黄色になり始めたころに掘り上げ,半乾にして60 ~ 80℃の湯に 15 ~ 20分間芯まで熱が通るくらいまで浸した後,稲架(はさ)掛けにして乾燥する.
産地 北海道が主で,岩手・群馬・富山・新潟県で栽培.
性状 不規則な塊状を呈し,ときには縦割され,長さ5 ~ 10 cm,径3 ~ 5 cmである.外面は灰褐色 ~ 暗褐色で,重なり合った結節があり,その表面にこぶ状の隆起がある.縦断面は辺縁が不整に分枝し,内面は灰白色 ~ 灰褐色,半透明でときにはうつろがある.質は密で堅い.
特異なにおいがあり,味は僅かに苦い.
成分 フタリド類:cnidilide, neocnidilide, Z-ligustilide(日局18確認), senkyunolide, butylphthalide, butylidenephthalide, senkyunolide B ~ Jなど
その他:pregnenolone, vanillin, coniferyl ferulate, E-ferulic acid(日局18確認)など
選品 肥大し,外面が暗褐色,内面が黄白色で充実し,においや味が強いものが良い.
適応 駆瘀血・鎮痛・鎮静・強壮作用があり,冷え性,生理不順など婦人病の薬方に配合される.
婦人病の家庭薬原料に常用される.
民間薬として茎葉を浴湯に用いる.
漢方
処方例

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん),温経湯(うんけいとう),芎帰膠艾湯(きゅうきこうがいとう)
構成生薬のうち,川芎,当帰の組み合わせにより,貧血,冷え性,生理異常,血の道などを改善する.

疎経活血湯(そけいかっけつとう),川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん),清上蠲痛湯(せいじょうけんつうとう)
構成生薬のうち,川芎,羗活(きょうかつ),白芷(びゃくし),防風の組み合わせにより,頭痛・神経痛などの鎮痛作用を強める.

治打撲一方(じだぼくいっぽう)
構成生薬のうち,川芎,樸樕(ぼくそく),桂枝の組み合わせにより,打撲による内出血,腫れ,痛みに効果がある.

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう),十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
構成生薬のうち,川芎,荊芥,防風,桔梗の組み合わせにより,化膿性皮膚疾患のかゆみ,炎症に使用される.

貯法 密閉容器
備考 結節の節間が延びて細長い根茎となり,小さな塊状根茎が数個連なっているものは「そろばん」と称し,質が劣るとされる.
中国における芎窮と称するもの(Ligusticum chuanxiong)は日本の川芎と基原植物が異なっているので,日局には適合しない.
性状記載の「半透明でときにはうつろがある」の“うつろ”は“空ろ”と書く.

情報更新日 2022/05/16

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