公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
ダイオウ (大黄)
第十八改正日本薬局方 収載
英名 Rhubarb 生薬ラテン名 RHEI RHIZOMA
ダイオウ
生薬名:ダイオウ
Rheum palmatum,Rheum tanguticum,Rheum officinale,Rheum coreanum
植物名:Rheum palmatumRheum tanguticumRheum officinaleRheum coreanum
基原 Rheum palmatum Linné , Rheum tanguticum Maximowicz, Rheum officinale Baillon, Rheum coreanum Nakai 又はそれらの種間雑種(Polygonaceae タデ科)の,通例,根茎
定量するとき,換算した生薬の換算物に対し,センノシドA(C42H38O20:862.74)0.25%以上を含む
調製 野生品は5 ~ 10年生,栽培品は4 ~ 6年生の根茎を9 ~ 10月に掘りとり,根を去り,皮部を削り取って平滑にし,卵形ないし長卵形に調製し,多くは横に穴をあけ,ひもを通して風乾する.大型のものは,皮をむいて縦割りし,多くは穴をあけ,ひもを通して陰干にしする.また,皮を付けたまま縦割り又は輪切りにし,ひもを通さずに乾燥する.
産地 中国(青海,甘粛,陜西,四川省など)の主として野生品.北海道で栽培.
性状 卵形,長卵形又は円柱形を呈し,しばしば横切又は縦割され,径4 ~ 10 cm,長さ5 ~ 15 cm である.皮層の大部分を除いたものでは,外面は平滑で,黄褐色 ~ 淡褐色を呈し,白色の細かい網目の模様が見られるものがあり,質は緻密で堅い.コルク層を付けているものでは,外面は暗褐色又は赤黒色を呈し,粗いしわがあり,質は粗くてもろい.破砕面は繊維性でない.横切面は灰褐色,淡灰褐色又は褐色で,黒褐色に白色及び淡褐色の入り組んだ複雑な模様がある.この模様は形成層の付近でしばしば放射状を呈し,また,髄では径1 ~ 3 mm の褐色の小円の中心から放射状に走るつむじ様の組織からなり,環状に並ぶか,又は不規則に散在している.
特異なにおいがあり,味は僅かに渋くて苦い.かめば細かい砂をかむような感じがあり,唾液を黄色に染める.
成分 ジアンスロン配糖体:sennoside A(日局18定量) ~ F
アントラキノン類:rhein(日局18確認), aloe-emodin, emodin, physcion, chrysophanolなど
その他:スチルベン配糖体、タンニン、脂肪酸 など
選品 放射紋のあるものが良い.
適応 便秘,胸満,腹満,腹痛,利尿異常,黄疸,瘀血(おけつ)などを治する目的で薬方に配合される.
漢方
処方例

承気湯類〔桃核承気湯(とうかくじょうきとう),小承気湯(しょうじょうきとう)など〕
構成生薬のうち,大黄,芒硝の組み合わせで主に急性の便秘を解消する.

麻子仁丸(ましにんがん),潤腸湯(じゅんちょうとう)
構成生薬のうち,大黄と潤薬(麻子仁,杏仁など)との組み合わせで慢性化した便秘に使用する.

三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)
構成生薬のうち,大黄,黄連,黄芩(おうごん)の組み合せでのぼせ,高血圧症に作用する.

大芎黄湯(だいきゅうおうとう),治打撲一方(じだぼくいっぽう)
構成生薬のうち,大黄,川芎(せんきゅう)の組み合わせで湿疹や打撲などに作用する.

貯法 密閉容器
備考 中国産には主に錦紋(きんもん)系(西寧大黄,岷県(みんけん)大黄,文県大黄,凉州大黄,銓水(せんすい)大黄,河州大黄)と雅黄(がおう)系(雅黄,南川大黄,湖北大黄,陜西大黄,馬蹄大黄)がある.
土大黄,和大黄など類似名のものがあるが正品ではない.
成分のセンノシドは腸内細菌でレインに代謝され効果を発揮する.腸内細菌には個人差があるため,効果に個人差が生ずるといわれている.

情報更新日 2022/05/16

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