公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
タイソウ (大棗)
第十八改正日本薬局方 収載
英名 Jujube 生薬ラテン名 ZIZIPHI FRUCTUS
タイソウ
生薬名:タイソウ
ナツメ
植物名:ナツメ
基原 ナツメZiziphus jujuba Miller var. inermis Rehder(Rhamnaceae クロウメモドキ科)の果実
調製 果実が赤色となる9~10月頃に収穫し,果実を集めて乾燥する.煎剤用には調剤しやすくするため強く乾燥した,いわゆるドライ大棗といわれるものもある.
産地 中国(主に河北,河南,山東省)
性状 楕円球形または広卵形を呈し,長さ2 ~ 3 cm,径1 ~ 2 cmである.外面は赤褐色で粗いしわがあるか,又は暗灰赤色で細かいしわがあり,いずれも艶がある.両端はややくぼみ,一端に花柱の跡,他端に果柄の跡がある.外果皮は薄く革質で,中果皮は厚く暗灰褐色を呈し,海綿様で柔らかく,粘着性があり,内果皮は極めて堅く紡錘形で,2室に分かれる.種子は卵円形で偏平である.
弱い特異なにおいがあり,味は甘い. 
成分 多量の糖分,中性・酸性多糖類,高濃度のcyclic AMP,トリテルペン,トリテルペンサポニンなど
選品 新鮮で肥大し,うるおいがあり,甘味が強いものが良い.
適応 緩和,強壮,利尿,精神安定作用があり,多くの薬方に配合される.
漢方
処方例

桂枝湯類,小柴胡湯(しょうさいことう)
構成生薬のうち,大棗,甘草の組み合わせにより消化器系の虚弱を改善する.

甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
構成生薬のうち,大棗,小麦(しょうばく)の組み合わせにより精神を安定させる.

苓桂甘棗湯(りょうけいかんそうとう),炙甘草湯(しゃかんぞうとう)
構成生薬のうち,大棗,桂枝の組み合わせにより動悸を鎮める.

貯法
備考 第17改正日本薬局方 第一追補で生薬ラテン名および基原表記(属名)に修正があった.(ZIZYPHI → ZIZIPHI / Zizyphus → Ziziphus
中国産は河南省の「大灰棗(たいかいそう)」,河北省の「大泡棗(たいほうそう)」が良品とされ,それらが日本に多く流通している.また,果実を食用として賞味する.

情報更新日 2022/08/02

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