公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
チョウジ (丁香)
第十八改正日本薬局方 収載
別名 丁子  
英名 Clove 生薬ラテン名 CARYOPHYLLI FLOS
チョウジ
生薬名:チョウジ
チョウジ
植物名:チョウジ
基原 チョウジSyzygium aromaticum Merrill et Perry (Eugenia caryophyllata Thunberg)(Myrtaceae フトモモ科)のつぼみ
調製 8 ~ 9月,つぼみが紅色を帯び始めたとき,採集し,花柄を除去した後,日干しする.又は50℃以下で火力乾燥する.
産地 モルッカ諸島原産,アンボイナ島,マレー半島西岸のペナン島,アフリカ東岸のペンバ,ザンジバル,マダガスカル,レユニオンなどの諸島に栽培されている.
性状 暗褐色 ~ 暗赤色を呈し,長さ1 ~ 1.8 cm,やや偏平な四稜柱状の花床と,その上端には厚いがく片4枚及び4枚の膜質花弁とがあり,花弁は重なり合いほぼ球形を呈する.花弁に包まれた内部には多数の雄ずいと1本の花柱とがある.
強い特異なにおいがあり,味は舌をやくようで,後に僅かに舌を麻痺させる.
成分 フェニルプロパノイド:acetyleugenol, chavicolなど
セスキテルペノイド:α-caryophyllene, β-caryophyllene, humulene, carophylla - 4(12), 8(13)-dien-5β-ol, carophylla-3,8 (13)-dien-5α-olなど
クロモン配糖体:eugenosideⅠ, Ⅱ
タンニン:eugeniin, 1-desgalloyleugeniin, 2-desgalloyleugeniin
アルカロイド:higenamine
フラボノイド:rhamnetin, kaempferol
その他:精油(15 ~ 20%), eugenol (37 ~ 63%)(日局18確認),脂肪油,ろうなど
選品 外観は潤いがあり,芳香強く,茎や異物の少ないものが良い.
適応 理気・健胃・止嘔作用があり,シャックリや食欲不振などを改善する薬方に配合される.
チョウジ油の製剤原料.健胃薬の生薬製剤に配合.
漢方
処方例

柿蔕湯・丁香柿蔕湯
構成生薬のうち,丁子・柿蔕の組み合わせによりシャックリを止める.

治打撲一方(ちだぼくいっぽう,じだぼくいっぽう)・女神湯
構成生薬のうち,丁子・桂皮の組み合わせにより血行を促し,うっ血性の疾患を治す.

貯法 密閉容器
備考 4世紀ごろ地中海地方に知られていたが,原産地がモルッカ諸島であることは15世紀の中期に判明した.
1606年以降これらの諸島を領有したオランダ政府により,ニクズクと共に専売制がしかれたが,18世紀にはアフリカに伝えられ,現在はむしろこの地方に多く産する.
中国では宋代の開宝本草に収載されているが,薬用として使われることは少なかった.
初版日本薬局方から収載されている.

情報更新日 2022/05/13

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