公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

新常用和漢薬集

名称
ビャクシ (白芷)
第十八改正日本薬局方 収載
英名 Angelica Dahurica Root 生薬ラテン名 ANGELICAE DAHURICAE RADIX
ビャクシ
生薬名:ビャクシ
ヨロイグサ
植物名:ヨロイグサ
基原 ヨロイグサAngelica dahurica Bentham et Hooker filius ex Franchet et Savatier(Umbelliferae セリ科)の根
調製 秋に葉と茎が黄変するのを待って,掘りとり,土を除き茎葉をつけたまま,稲架(はさ)掛けにして乾燥する.翌年の春に茎葉を除き[調製]する.
産地 中国(浙江,河南,河北省),韓国
性状 主根から多数の長い根を分枝してほぼ紡錘形又は円錐形を呈し,長さ10 ~ 25 cmである.外面は灰褐色 ~ 暗褐色で,縦じわ及び横長に隆起した多数の細根の跡がある.根頭に僅かに葉鞘を残し,密に隆起した輪節がある.横切面の周辺は灰白色で,中央部は暗褐色を呈するものがある.
特異なにおいがあり,味は僅かに苦い.
成分 クマリン誘導体:byak-angelicin, byak-angelicol, imperatorin, phellopterin, oxypeucedanin, xanthotoxin, marmesin, scopoletin, anhydrobyak-angelicin, neobyak-angelicol
モノテルペン:α-pinene, camphene, β-pinene, myrcene, α-phellandrene, α-terpinene, p-cymene, terpinolene
その他:4-vinylguiacol, isoelemicin, β-elemene, caryophy llene, ligustilideなど
選品 柔軟で,潤いがある.あるいは,質が固く,ともに香りの強いものが良い.
適応 去風・鎮静・鎮痛・発散・排膿作用があり,かゆみ,頭痛,歯痛,神経痛,鼻炎,感冒などを治療する薬方に配合される.
漢方
処方例

川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん),清上蠲痛湯(せいじょうけんつうとう)
構成生薬のうち,白芷,防風,川芎の組み合わせにより,産前産後の感冒,風熱による頭痛の改善に配合される.

疎経活血湯 (そけいかっけつとう)
構成生薬のうち,白芷,羗活,防風,川芎の組み合わせにより,身体を暖め血流を改善し,しびれ,関節痛,神経痛を治す.

清上防風湯(せいじょうぼうふうとう),荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
構成生薬のうち,白芷,桔梗,枳実の組み合わせにより,にきび,皮膚炎,扁桃腺炎,中耳炎などの化膿性疾患を治療する.

貯法 密閉容器
備考 浙江省産は杭白芷(こうびゃくし),河南省産は禹白芷(うびゃくし),河北省産は祁白芷(ていびゃくし)と呼ばれている.

情報更新日 2022/08/01

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