公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

季節の花(東京都薬用植物園)

シロナンテン

(メギ科)

 

撮影日 2022-11-29

植物のある場所 有用樹木区

関東地方から中国大陸の暖帯にかけて分布する常緑低木です。温暖な地域の明るい樹林などで見られますが、国内のものは植栽由来の逸出野生化も多いため、本来の自生かどうかは定かでありません。
ナンテンの果実には鎮咳作用があります。通常のナンテンの果実は赤く熟し、太陽光や霜の当たる場所では果実と同時に紅葉もみられます。常緑樹であり、紅葉した葉も落葉せずに、翌年春になると緑色に戻ります。
本種シロナンテン(シロミナンテン)は、植物体全体にアントシアニン色素の生成を欠く系統で、果実は赤くならず、黄白色に熟します。また紅葉もせず、真冬でも葉が鮮緑色です。
生薬の市場では昔から白いものを尊ぶ傾向があり、ナンテンジツにおいてもシロナンテンのものが良品とされ、赤い果実を漂白した生薬が流通したこともあったようです。しかし実際には、薬効に差異はありません。
のど飴などの食品への利用もあります。
【生薬名】ナンテンジツ(南天実)
【薬用部位】果実
【用途】鎮咳薬として民間で喘息や百日咳に用いる
【成分】アルカロイド類(ドメスチン、ナンジニン)など、種子には脂肪油など

新常用和漢薬集「ナンテンジツ」

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