公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

季節の花(東京都薬用植物園)

ツルニンジン

(キキョウ科)

 

撮影日 2021-08-11

植物のある場所 林地、ロックガーデン

山地の林床やその周辺、山道の路傍などに生育する、つる性の多年草です。
地下に太く肥大した根をもちます。和名に含まれる「ニンジン」は、その根がウコギ科のオタネニンジンに類似した外観であることに由来し、同じキキョウ科のツリガネニンジンなどと同様のネーミングと言えます。
つる状の主茎に互生する葉はとても小さく、その葉腋から短い枝を出して、そこへ数枚(多くの場合4枚)の大きな葉を十字に輪生状に付ける、独特の葉の付き方を特徴とします。この特徴を覚えておくと野外でも、また花のない状態でも発見が容易です。
花は広鐘形で下向きに咲き、花冠の外面はおおむね白色、内面はくすんだ赤紫色の、そばかす状の不規則な模様を呈します。ここから別名をジイソブといいます。「ソブ」は長野県木曽地方の方言で「そばかす」の意味で、同属でやや小型のバアソブと対照をなしています。一説によると本種は茎や葉にほとんど毛がないことからお爺さんに、バアソブは毛を生じることからお婆さんに例えられた、とも言われます。
多くのつる植物では、種によってつるの巻き付く向きが決まっていますが、ツルニンジンでは定まっておらず、左右両方の巻き付き方がみられることも特徴的です。
【分布】北海道から九州、日本国外では中国大陸、朝鮮半島、極東ロシア(ウスリー地方)

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