季節の花(東京都薬用植物園)
タケニグサ
(ケシ科)
有毒植物
撮影日 2023-08-05
植物のある場所 有毒植物区
全草有毒であり、茎や葉を折ると、橙褐色の有毒な液汁が滲み出します。
茎は中空で、高さ1mから2.5mに直立し、その頂部に高さ30cmから80cmほどの円錐花序をつけ、花序の下方から順次開花します。
花には花弁がなく、蕾を覆う2枚の萼片は開花とともに脱落します(ケシ科に広く見られる「散萼」)。
白い房毛状のものが開花中のおしべ・めしべで、これも程なく散って、すみやかに結実します。
おもに民間で生薬名をハクラクカイ(博落回)と称し、皮膚感染症(いんきんたむし等)や虫刺されに外用した例がありますが、前述のように有毒であり、かえって皮膚炎になるリスクがあります。今は安全な医薬がありますので、薬用として本植物を用いることは推奨されません。
和名は、枯れた中空の茎が、枯れたタケ類の稈に似るため「竹似草」であるとされます。また「博落回」の表記の出典は唐代(8世紀)の本草書「本草拾遺」で、中空の茎を切って、笛のように吹いたときのボーボーという音を模写した当て字との旨の記載があるようです。
日本では観賞価値が認められず、むしろ除草対象とされがちな本種ですが、欧米においては Plume poppy(羽飾りのケシ)の名で、ガーデニングに利用されることもあり、花序が赤いものなど、園芸品種も存在します。ただし、地下茎でも種子でも繁殖し強健なため、現地で逸出野生化するリスクも、懸念されているようです。
【分布】本州から九州、台湾、中国大陸
【有毒部分】全草
【有毒成分】アルカロイド類(サンギナリン、ケレリトリン、プロトピン他)
【症状】液汁付着による皮膚炎、誤食による嘔吐、意識低下、呼吸麻痺など