公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

季節の花(東京都薬用植物園)

ウバユリ

(ユリ科)

 

撮影日 2024-08-07

植物のある場所 林地

落葉樹林、ときに針葉樹林の薄暗い林床に生育する多年草で、真夏の林でひっそりと開花します。多年草ですが一回開花性で、開花・結実した個体は、地中の鱗茎もろとも枯死します。ウバユリの群落を観察すると、翌年以降に開花する小型のロゼット個体を、いくつも見つけることができます。
花は薄緑色であまり開かず、多くは画像のとおり花被片内側に暗褐色の斑点がみられます。斑点の濃さには個体差がみられ、ときには全くない個体もあります。
開花する頃に葉が枯れてほとんど無くなることがあり、葉がない→歯がないの掛け言葉から【姥百合】の和名がついたと言われています。もっとも、木蔭で直射日光の当たらない場所では、開花時にもしっかりと葉が残っている個体も、多く観察できます。
日本海側や北日本では、10個以上の花をつける大型の変種(オオウバユリ)が見られますが、関東のものは概して小型で、花数も数個程度です。ただし今年(2024年)は比較的生育が良好で、5-7個の花をつけた個体が育っています。
ウバユリ属 Cardiocrinum は東アジアからヒマラヤに分布する3種ほどが所属する小さな属です。単子葉植物には珍しく葉脈が網状脈となる特徴がありますが、ユリ属 Lilium との共通する性質もあるため、ユリ属へ含める見解もあります。
【分布】本州宮城県・石川県以西、四国、九州(これよりも北方にはオオウバユリが分布)

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