公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

季節の花(東京都薬用植物園)

ヨモギ

(キク科)

 

撮影日 2024-10-26

植物のある場所 民間薬原料植物区ほか

開花しない茎の葉

もっともふつうにみられるヨモギの、開花期の姿です。ヨモギは生育の段階によって葉の姿を大きく変化させ、開花期の花序付近の葉は楕円形や披針形のシンプルな形状を呈し、よく知られたヨモギの姿とは、かけ離れた様相となります。それでも特有の香りがすることと、株元を見れば、開花に至らない茎につく葉が、おなじみの切れ込んだ姿をしていることなど、しっかりと観察すればヨモギであることが判ります。
花は風媒花であり、小さな頭花を無数につけるため、カズザキヨモギの別名もあります。花後に1.5mmほどの痩果をつけるほか、地中に根茎を伸ばすことでも繁殖します。
開花前の葉および枝先を乾燥させたものが局方生薬のガイヨウ(艾葉)であり、民間薬や漢方処方に用いられます。
また春(ときに初夏)の若葉を餅につきこんで草餅をつくったり、乾燥させた葉を揉んで葉裏の毛のみを集めて、お灸の「もぐさ」を作るなど、生活に根付いた身近な野草、薬草の代表でもあります。
日本薬局方では、ヨモギを独立種 Artemisia princeps とみなす見解をとっていますが、最近の文献では、東南アジアに広く分布するニシヨモギ(オキナワヨモギ、沖縄ではフーチバーと呼ばれる)の変種と位置づけ、A. indica var. maximowiczii の学名を与えることも多くなっています。
【生薬名】ガイヨウ(艾葉)
【薬用部分】葉および枝先
【用途】収れん・止血・鎮痙作用、漢方処方用薬:芎帰膠艾湯
【成分】精油(シネオールほか)、クマリン類、カフェ酸誘導体
【分布】本州から九州、小笠原、朝鮮半島

新常用和漢薬集「ガイヨウ」

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