公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

季節の花(東京都薬用植物園)

タケニグサ

(ケシ科)

有毒植物

 

撮影日 2024-09-07

植物のある場所 有毒植物区

平地から山地に至る、日当たりの良い草地・裸地に生育する大型の多年草です。市街地でもしばしば群落をつくり、路傍や造成中の空地、鉄道線路脇など、撹乱の多い場所によく見られます。
全草有毒であり、茎や葉を折ると、橙褐色の有毒な液汁が滲み出します。
茎は中空で、高さ1mから2.5mに直立し、初夏から夏にかけて大型の円錐花序を出して、白色の小さな花を群れ咲かせます。
画像は、花のあとの若い果実の群れです。果実は乾いた蒴果となり、1果あたり数個の種子を含みます。草が秋風に揺れると、この乾いた果実がぶつかり合って微かにカラカラと鳴り、別名のササヤキグサは、その鳴る音に由来するとされます。標準和名のタケニグサは、枯れた中空の茎が、枯れたタケ類の稈に似るため「竹似草」であるとされます。
おもに民間で、皮膚感染症(いんきんたむし等)や虫刺されに外用した例がありますが、前述のように有毒であり、かえって皮膚炎になるリスクがあります。今は安全な医薬がありますので、薬用として本植物を用いることは推奨されません。
日本では観賞価値が認められず、むしろ除草対象とされがちな本種ですが、欧米においては Plume poppy(羽飾りのケシ)の名で、ガーデニングに利用されることもあり、花序が赤いものなど、園芸品種も存在します。ただし、地下茎でも種子でも繁殖し強健なため、現地で逸出野生化するリスクも、懸念されているようです。
【別名】ササヤキグサ、チャンパギク
【分布】本州から九州、台湾、中国大陸
【有毒部分】全草
【有毒成分】アルカロイド類(サンギナリン、ケレリトリン、プロトピン他)
【症状】液汁付着による皮膚炎、誤食による嘔吐、意識低下、呼吸麻痺など

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