公益社団法人東京生薬協会公益社団法人東京生薬協会

季節の花(東京都薬用植物園)

ホソバオケラ

(キク科)

 

撮影日 2024-09-21

植物のある場所 漢方薬原料植物区

中国の揚子江流域を原産地とするオケラ属多年草で、葉は披針形(細長い形)を示し、花は白色で、大きさは日本に分布するオケラと同程度、あるいはやや小輪です。江戸享保年間にわが国へ導入されました。佐渡島に持ち込まれて栽培されたものは良品とされ、現在サドオケラの名で現地に残っているものは、本種ホソバオケラの純系や近縁種との雑種です。

傷寒論、神農本草経が編まれた後漢の時代(1~2世紀頃)には、オケラ類は「朮」とだけ記されていたものが、6世紀頃よりソウジュツとビャクジュツが区別されるようになったとされます。わが国では第7改正日本薬局方(1961年=昭和36年)以降、ソウジュツとビャクジュツは分けて収載されています。両者に共通する精油成分も多いものの、ソウジュツを特徴づける化合物としてβ-オイデスモール、ヒネソールが挙げられます。ソウジュツの生薬表面にしばしば生じる白い綿状結晶は、これらの成分が析出したものです。
日本薬局方では、平胃散およびこれを基本とする処方にはソウジュツを配剤することが望ましいと記されています。
【生薬名】ソウジュツ(蒼朮)
【薬用部分】根茎
【成分】セスキテルペノイド(β-オイデスモール、ヒネソール)等精油成分、ポリアセチレン化合物(アトラクチロジン他)
【用途】漢方処方用薬:健胃・整腸・利尿・発汗(平胃散、二朮湯、消風散ほか)
【原産地】中国

新常用和漢薬集「ソウジュツ」

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